夏の庭


「アイスを買ってきましたよ」
「あら、君って意外に気が利くのね」
微笑む彼女は庭に出て、力強く太陽に向くヒマワリに水を与え始めた。
僕は縁側に座って、その様子を眺めていた。
しばらくして、いつもと何か違うと気がついた。
彼女の顔には子供のように無垢な笑顔がなかった。
そして、その代わりに憂いを帯びた顔があった。
その長いまつげが、白く透き通った肌が、紅を引いたような唇が、僕をとらえた。
彼女から目が離せない。
「あまり見つめないでよね、恥ずかしいじゃない」
その一言で、はっと息をのんだ。
目の前には頬を赤らめた彼女がいる。
僕は彼女をからかおうと口を開けた瞬間、彼女はほおを膨らませ僕の後ろを指差した。
「あ!!」
夏の庭を吹き抜ける爽やかな風が真っ白なワンピースをふわり、揺らした。



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